グルテンの網目構造に浸透してこれを破壊することにより,構造を軟らかくする.

生地を膨らませてパンを作るには,弾性のあるグルテンタンパク質が欠かせない.

しかし,タンパク質は小麦粉重量の10%程度しかないのに比べて,デンプンは約70%も含まれる.

生地中でのデンプン粒の作用はいくつかある.

デンプン粒はその表面についた水と合わせると生地の体積の半分以上を占め,グルテンの網目構造に浸透してこれを破壊することにより,構造を軟らかくする.

ケーキの場合には,グルテンは大量の水と砂糖に希釈されてしまって硬さに寄与しないので,デンプンが主要な構成成分となる.

パンやケーキを焼く過程で,デンプン粒が吸水し,膨張し,二酸化炭素の気泡を包む

硬い膜になる.

同時に,膨張した硬いデンプン粒のせいで気泡はそれ以上膨らまなくなり,中の水蒸気は気泡を破って外に逃げる.

ひとつひとつ分離していた気泡が互いにつながり,穴のつながった連続性のスポンジ構造が形成する.

もしこうならなかったら,焼き上がった後に水蒸気が冷えて体積が縮まり,パンやケーキはしぼんでしまうだろう.

生地および生地で作るものの基本構造509






www.kyoritsu-pub.co.jp/kinkan/shosai/pdf/506-509.pdf

マギーのキッチン・サイエンスより







出典:http://www.kyoritsu-pub.co.jp/kinkan/shosai/pdf/506-509.pdfグルテンの網目構造に浸透してこれを破壊することにより,構造を軟らかくする.の関連ワード:[料理][科学][実用]